Flutter入門開発7 Flutter CLIツールの使い方

Flutter

はじめに

 Flutterは、Googleが開発したクロスプラットフォームのUIフレームワークで、モバイル、ウェブ、デスクトップアプリケーションを一つのコードベースから作成できます。この強力なツールを最大限に活用するために、Flutter CLI(コマンドラインインターフェース)は不可欠な存在です。この記事では、Flutter CLIの基本的な使い方から、プロジェクトの作成、ビルド、デバッグまでの流れをわかりやすく解説します。Flutterがまだインストールできていないという方は以下を参考にインストールしてみてください。

Flutter CLIとは

 Flutter CLIは、Flutterでの開発作業を効率化するためのコマンドラインツールです。このツールを使うことで、プロジェクトの作成やビルド、デバッグ、さらにはパッケージの管理まで、すべてをコマンドラインから行うことができます。Flutter CLIを使いこなすことで、開発スピードが大幅に向上します。またMakefileなどを用いると独自のコマンドスクリプトを作ることも可能です。

基本コマンド

flutter create

 flutter createコマンドは、新しいFlutterプロジェクトを作成する際に使用します。このコマンドを実行するだけで、Flutterアプリケーションの基本構造が自動的に生成されます。

flutter create my_app

 このコマンドを実行すると、my_appという名前の新しいFlutterプロジェクトが作成されます。

flutter run

 flutter runコマンドは、Flutterアプリケーションをエミュレーターや実機で実行するために使用されます。デバッグ中にアプリを素早くテストするために非常に便利です。このコマンドにはいくつかのオプションがあり、アプリを異なるモードで実行することができます。

  • デバッグモード(Debug mode)
    デフォルトでは、flutter runはデバッグモードでアプリを実行します。このモードは、ホットリロード、デバッグシンボル、完全なデバッグ情報をサポートしており、開発中に最適です。
flutter run
  • リリースモード(Release mode)
    リリースモードでは、デバッグ情報が削除され、アプリが最適化されてビルドされます。このモードは、実際にユーザーに提供する際に使用されます。
flutter run --release
  • プロフィールモード(Profile mode)
    プロフィールモードは、リリースモードに近いですが、パフォーマンスの計測ができるように最小限のデバッグ情報が残されています。アプリのパフォーマンスを確認するために使用されます。
flutter run --profile

 これらのオプションを使用することで、開発やテストのフェーズに応じた適切なモードでアプリケーションを実行できます。

flutter build

 flutter buildコマンドは、Flutterアプリケーションをビルドして、リリース用のAPKやIPAなどを生成します。このコマンドを使えば、アプリを様々なプラットフォーム向けに最適化されたパッケージとしてビルドできます。以下に、主要なビルドオプションを紹介します。

  • APK
    Android向けのAPK(Android Package)を生成するために使用します。APKはAndroidアプリの標準的な配布形式で、直接インストール可能なファイルです。
flutter build apk --release
  • App Bundle
    Android用のApp Bundleを生成します。App Bundleは、Google Playでアプリを公開する際に推奨される形式で、異なるデバイス構成に最適化されたAPKを動的に生成できます。
flutter build appbundle --release
  • IPA
    iOS向けのIPAファイルを生成します。IPAは、iOSアプリのインストールパッケージで、App Storeでの公開やテスト用に使用されます。IPAのビルドにはmacOSが必要です。
flutter build ios --release
  • Web
    Flutterアプリをウェブ向けにビルドします。このコマンドを使って、ウェブブラウザで実行可能な静的ファイルを生成します。
flutter build web
  • Desktop
    Windows、macOS、Linux向けにデスクトップアプリをビルドします。以下はWindows向けのビルド例ですが、macOSやLinux向けのビルドも同様に行えます。
flutter build windows

 これらのオプションを活用することで、Flutterアプリをさまざまなプラットフォーム向けにビルドし、リリース準備を効率的に進めることができます。

flutter doctor

 flutter doctorコマンドは、Flutterのインストール状況や開発環境の設定状態を確認するために使用されます。このコマンドは、Flutterのセットアップやトラブルシューティングの際に役立ちます。

flutter doctor

 以下実行例です。

Doctor summary (to see all details, run flutter doctor -v):
[✓] Flutter (Channel stable, 3.24.1, on macOS 14.6.1 23G93 darwin-arm64, locale ja-JP)
[✓] Android toolchain - develop for Android devices (Android SDK version 34.0.0)
[✓] Xcode - develop for iOS and macOS (Xcode 15.4)
[✓] Android Studio (version 2023.3)
[✓] IntelliJ IDEA Community Edition (version 2024.1.2)
[✓] VS Code (version 1.92.2)
[✓] Connected device (3 available)
[✓] Network resources

 No issues found!

flutter pub

 flutter pubコマンドは、Flutterプロジェクトの依存関係を管理するために使用します。パッケージの追加や更新を行い、プロジェクトの環境を最新の状態に保ちます。

flutter pub get

 このコマンドは、pubspec.yamlに定義された依存関係をプロジェクトにインストールします。

flutter analyze

 flutter analyzeコマンドは、コードの静的解析を行い、潜在的なバグや非推奨のコードを検出します。コード品質を維持するために役立つツールです。

flutter analyze

 このコマンドを実行すると、プロジェクト内のコードが解析され、改善点が表示されます。

flutter test

 flutter testコマンドは、Flutterプロジェクト内の単体テストを実行します。テスト駆動開発(TDD)を実践する際に不可欠なコマンドです。

flutter test

 このコマンドを実行すると、プロジェクト内のテストが実行され、その結果が表示されます。

まとめ

 Flutter CLIは、Flutterでの開発を効率化するために欠かせないツールです。プロジェクトの作成からビルド、テスト、デプロイまで、CLIコマンドを活用することで、開発のスピードと品質が向上します。今回紹介した基本コマンドをマスターし、日々の開発で積極的に活用してみてください。

Flutter開発入門の次の記事はこちらです。

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