はじめに
本記事では社内SE、いわゆる情報システム部門の方の仕事内容とは。また社内SEに求められるスキルとは何かを紹介しています。
社内SEとは
社内SEについて
まず、社内SEについてですが、SEはシステムエンジニアと呼びます。一般的にシステムエンジニアと聞くと、お客様からシステム要件のヒアリングをして、システムを作るための設計をし、開発を行った上で、出来たシステムを納品します。
しかし社内SEは、自社内で行っているサービスのシステム構築を企画・要件を洗い出し、社外ベンダーのエンジニアや、時にはパッケージシステムを買ってきて運用することを行います。
例えば、小売店を経営している飲食業界の会社であれば、この会社の多くの店長から決済システムを導入したいという要望があったとします。その場合社内SEは決済システムを開発できるベンダーを選定し作ってもらうための仕事を行います。
では具体的に社内SEにはどんな仕事があるか見てみましょう。
仕事内容
仕事として行うことは、どんなシステムが欲しいかを企画者からヒアリングし、(時にはSEも企画も行います)システム構築から運用サポートまでの全てを行うことが多いです。
例として、家電量販店を例にしてみます。ある家電量販店では100社のメーカーの製品を扱っており、毎月一定の商品を売買していましたが、ある時、在庫システムの数と、実際に在庫にある量が違うことに気づきました。調べてみると盗難が頻発していることは分かったのですが、監視カメラを付けて監視するより、製品に盗難防止タグを付けることを企画担当者は提案しました。
盗難防止用に監視カメラでは永遠と見ているのは大変なので、
盗難防止タグのようなものを導入したいんだが、どうだろうか。
予算は○○円ぐらいで。
分かりました。では、いくつか製品が作れそうな会社
の中で見積もりを取ってみます。
うーん、B社は実績は十分なんだが、金額が高いなあ
かといってC社は金額は安いが、信頼感に欠けるなあ
上の例ですと、社内SEは作りたいシステムを作ってくれる会社を選び、ベンダーの選定と見積を精査をしているようです。
続いて、開発してくれるベンダーが決まったと仮定して、今度は開発を始めるまでの流れを見ていきます。
D社に決まったようだね
はい。ではこれから開発を始める前に、契約処理・発注処理
ベンダーとの体制構築・システム要件などをまとめていきます。
次に行うことは開発、ではなく、その前にベンダーにシステム要件を伝え、契約・発注・管理体制を構築していきます。またここで出来るだけ安く発注できるかも、大事なポイントです。
ベンダーとしてはなるべく高く受注したいですが、家電量販店側からすればなるべく安く作れるほうが良いのです。かといって安い会社をなんとなく選んでも、良い品質のシステムは作れませんので、十分に検討する必要があります。
続いて、開発が始まってから運用サポートまでの流れを見ていきましょう。
要望されていたシステムを作りましたが、
いかがでしょうか。
○○の機能が入っていないので、作り上げてください。
作りました。どうでしょうか。
確認しました。
こちらでも試験を行った後、問題ありませんでしたので支払いを実施します。
このシステムを現場に導入するので、具体的なスケジュールと
運用・サポート体制を決めました。
よし、それで行こう
こうしてシステムが構築された後は、運用のサポートを行っていきます。だいぶ省いた部分もありますがまとめると、社内SEの仕事は大きく以下のようになります。
- ベンダー選定
- 要件定義
- 契約管理
- 発注・支払処理
- ベンダーの開発管理
- 開発スケジュールの管理
- 運用サポート体制構築
実際には業務によって、業務要件のヒアリングを行ったり、まずは技術調査を行ったり、社内上層部への説明、保守開発の管理、セキュリティ監査などなど多岐に渡ることもあります。
また、もちろん会社によってはベンダーが決定している会社や、発注は企画担当者が行うケースもあるでしょうか。
一方、システムエンジニアとして名前がついてはいますが、実際にシステムを設計・開発・機能試験などは行わず、あくまでシステム要件を洗い出したり、作られたシステムの検査などを行うのみとなります。
社内SEの良い点・悪い点
ここでは、社内SEの良い点、悪い点を挙げてみます。
良い点
- 上流工程に携われる
- ベンダーマネジメントが経験できる
- ユーザーとの距離が近く、反応を近くで見れる
- システムの知識がつく
やはり自分が作るシステムやサービスが、ユーザーと近いのは楽しいものです。ベンダーで開発を行っていると、作って納品したらお金が貰えるため、あまりユーザーを意識することが減ってしまうのですが、自社開発の企業ですと作ったものがユーザーに使ってもらえて初めて意味があるので、使っている方たちの称賛の声などは大きなやりがいとなるでしょう。(時には悪口もあります….)
また、上流工程に携わることで自社ビジネスの知識と、システム知識の両方の知識が学べることも良い点としてあげられます。
悪い点
- システム開発能力がつかない
- 業務が多岐に渡るため専門性がつきにくい
- 比較的労働時間が多い部署も多い
- 社内調整が増える
悪い点としては、実際に手を動かして開発することは少ないため、エンジニアと言えどエンジニアリングの能力はあまり上がりません。また業務が多岐に渡るため特定の分野の知識ではなく幅広く学ぶことになるため、手に職をという意味だと少し難しいかもしれません。
また関係者が企画担当者や、ベンダー、そして現場の方たちなど多いため、社内調整に翻弄される場面や会議が増えていくケースも多々ありますので、労働時間が長くなってしまう場合も起こりえます。
社内SEに求められるスキル
コミュニケーション能力
まず1点目に上げるのは、コミュニケーションスキルです。どの業種でも必要な部分ではありますが、社内SEは社内の担当者(現場や企画)からベンダー窓口担当者、エンジニアなど関わる方が多い傾向にあります。
積極的にコミュニケーションを取っていき、必要な情報や要件、開発進捗などを聞き取っていかなければなりません。コミュニケーションを取らないと、「イメージしていたシステムと違う!!」とか「こんな機能は要望に入っていない!!」など言われてしまうことになりかねません。
管理能力
続いて管理能力です。こちらは主にベンダーを上手く動かしていくことが必要になるため、スケジュール調整やコスト管理、また契約内容の確認や品質も考えていかなければなりません。
これらを怠ると会社的にも損害を与えてしまいますし、バグだらけのシステムを納品されてしまい、結果的に使い物にならなかったとなりかねませんので、しっかりと管理する必要があります。
ITスキル・システム知識
続いて、こちらは言わずもがなですが、ITスキルやシステム知識は必須です。システム開発を行うのに、社内SEの方の知識がないとベンダーが作り上げてきたものを評価することが出来ません。
とりあえず動いているぐらいシステムを受け取ってしまっては、何故動いているか、仕組み(アーキテクチャ)は何か、要望通りの機能になっているかなど、ベンダーとコミュニケーションをしながら理解することが必要です。システム運用時にも、現場の方から「システムが動かない!」と来ても、分かりません、ではどうしようもないのです・・・
幅広い分野の知識
こちらは主に業務知識や契約の知識、会計処理等は知っておく必要があります。もちろん業務知識は現場の方、契約は法務、会計は経理など専門の方は社内にいると思いますが、その方々とコミュニケーションをとるには、一定の知識がないと進めることができません。
そのため、経理を全て知る必要はありませんが、会計処理をするためには〇〇の手続きが必要、のような社内手続きや用語などは必ず知っておく必要があります。
(専門性)
最後に、こちらはカッコにしておきましたが、何より転職するときのアピール要素として専門性がある方は重宝されます。例えばAIの知識を持っていれば、AIを使ってどんな事ができるか、社内業務をAIを使えばどう変えられるかなど提案をすることも出来ますし、AIシステムを作るときにはベンダーと仕事をすすめる上でコミュニケーションに時間が取られないので、とてもスムーズに進められます。
もちろん専門性がない場合は学んでいけばいいと思いますが、専門性があるだけでプロジェクトにはアサインされやすいので、専門性がある場合はアピールしていきましょう。
その他
他にも調整能力や、営業力、ヒアリング力などあれば良いものはたくさんあると思いますが、今回は上記5点をあげてみました。基本的には多岐に渡る仕事が多いので、持っているスキルはどんどんアピールしていくことが転職への秘訣になると思います。
※ただしITスキルは必ず身につけておきましょう。
まとめ
今回は社内SEの仕事に内容についてと、社内SEに求められるスキルということで記事を書いてみました。
もし興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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